営林の現場から~技術検討会を実施しました~
昨日、安芸森林管理署主催の「造林事業に関する技術検討会」が実施され、
エコアス馬路村からも事務方担当者、現場責任者が参加しました。
国有林においては、森林資源(主にスギ・ヒノキ)が伐採適齢期を迎えており、
皆伐・主伐による木材搬出と、その後の再造林(スギやヒノキ植えて、新しい森にする)が今後大きな事業となっていくが、
植林した苗木がシカ等の鳥獣によって被害にあい、再造林のコストが掛け増しになっている課題がある。
とのことです。
そこで、シカ等の獣害対策として、植林区域に獣害防止ネットを張りますが、
台風や雨の多い高知県ですので、ネットが倒れてしまったり、破けてしまい、鳥獣の進入を許すケースもあります。
定期的にネットの見回りに巡回できれば良いのですが、
営林署も統廃合によって人員が少なくなってきており、広範囲の巡視が行き届かないのが現状です。
そこで今回、「無人飛行機:ドローン」を使用した獣害防止ネットの巡視や、シカ等の進入を効果的に防ぐことができる防護ネットについて、
安芸森林管理署、四国森林管理局、高知県安芸林業事務所、近隣森林組合、弊社が合同となって技術検討を行いました。
まずは、ドローンによる獣害防止ネットの巡視です。
ドローンが飛んでいるところを見たのは初めてですが、
想像以上に簡単に操作ができ、スピードも出るため、林道上から区域頂上まであっという間に飛行したことには驚きました!!
ネットが倒れていることはカメラ映像(手元のモニター)で確認できますが、破れている部分までの確認は難しく、
ネットの色が黒ではなく、オレンジ等の明るい色であれば大丈夫そうです。
3,000mクラスの外周もあっという間に確認できるので、修理が必要な箇所があれば、
必要な資材をすぐに準備して、的確な修理ができることや、作業道や境界の点検にも活用できそうです。
次に、鳥獣の進入を防ぐ獣害防止ネットの検討を行いました。
近年は、一般的な苗木だけでなく、「コンテナ苗」「エリートツリー」と言われる苗木も普及し、
活着率(植林後すぐ枯れずに成長する)の高い植林が可能になってきましたが、
シカ等の進入を許せば、いくら良い苗木であっても食害には勝てませんので、
「いかに侵入させないか」「ネットに近寄らせないか」が重要になってきます。
今回検討会で試したネットは、従来より軽く、設置作業も簡単なようです。
作業コストや労力の軽減+防護機能も高くなっているようで、エコアス馬路村がこの春に作業する現場も同様の防護ネットなので期待したいですね。
機械や設備、資材はドンドン発達し便利になっていきますが、それを利用する・使用するのは人です。
高齢化が進み、人材の確保はドンドン困難になっていきます。
3Kと言われる山の現場作業。
森は、水や空気をつくり、生命のはじまりとなる重要な役割を担っています。
そのために必要な育林や間伐が循環しなければ、
農業はできませんし、川遊びや魚釣りを楽しむこともできません。
土砂災害等によって、そこに暮らすこともできなくなるでしょう。
田舎では一次産業が基盤でなければ、そこに暮らす人は減り、教育や医療福祉も成り立たなくなるのは目に見えてます。
機械や資材の開発だけでなく、
山で働く仕事の価値や存在意義の大きさをもっと知ってもらえる努力も必要でしょうし、
そのためには、官民チカラを合わせて取り組んでいかなくてはいけません。
今、その動きは「森の村・馬路村」だけでなく、
高知県全体に広がり、山林資源や森の機能維持が再認識され始めました。
林業は目先のことを考えるだけでは成り立ちません。
森を守り育ててきた先代たちがあって、今の暮らしがあります。
その感謝の気持ちと、次世代へ繋ぐ気持ちが、未来へ繋がっていくのだと感じた一日でした。
2016年
12月16日