工芸加工場に立ち寄ってみると、大きなスギの丸太とおんちゃんが二人。
どうやら「賃挽き」をするようです。
※賃挽きとは、持ち込まれた材を希望のサイズに挽く作業です。
賃挽きの依頼者は、馬路村で銘木店を営む・ゆうじおんちゃん。
賃挽きを担当するのは、森林組合の加工職人・眞くん。
スギの丸太を念入りにチェックしながら、どのように挽くのが一番良いのか考えます。
挽き方一つで木目の出方や、節の具合が違ってきますので、木の性質を見極める「目利き」が必要です。
賃挽き作業が始まりました。
眞くんが、長年使い込んだ機械の目盛りを微調整しながら裁断位置を決めます。
近年は、木を3Dスキャンして、最も効率の良い裁断寸法を測り、全自動で裁断する機械もあるようですが、
工芸加工場には、旧式の手動機械しかありませんので、目盛りを頼りに寸法を決めていきます。
一割(ひとわり)すると、美しいスギの木目と瑞々しさが姿を見せます。
ゆうじおんちゃんも納得の木目が出たようです。
このような大きなスギは、「天井板」に使われます。
木目の確認が終わると、天井板用に裁断していきます。
眞くんが機械を動かし、ゆうじおんちゃんが板を確認しながら並べていきます。
天井板用に裁断されたスギは、乾燥と仕上げ作業を行い、お客様に届けられます。
大切に育てられた木材が、価値のある製品となって、日本のどこかで生き続ける。
何だかロマンを感じる瞬間でした。